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2004年 12月 10日
軍営生活
 昨日の夜、貸切のバスに乗って仲間たちとともに台北へ戻ってきた。そう、今日から日曜の昼までお休みなのです。軍に入って初めての休み、みんなこの日を待ちに待っていた。久々に私服を身にまとい、軽やかにバスに乗り込んだ。ただ一つ来た時と違うのは、みんな、綺麗に丸刈りにされている事。訓練中に着る軍服やジャージ姿での全員丸坊主ってのは見慣れているけど、私服なのにみんな丸坊主っていう光景は何故か笑えた。
 軍営に入ってから2週間ちょっと、時間の流れが本当に遅く感じられた。そして本当に濃い2週間だったせいか、もう1ヶ月以上あの軍営にいたように感じられる。濃い内容ではあったけど、想像していた訓練付けの日々でもなかった。意外と体を動かす訓練が少ないのに驚いた。最初の3,4日は軽く腕立て伏せやランニングがあったけど、決してきついものではなく難なくこなした。それよりも色んな資料を記入しなければいけないのが面倒だった。喋るのはそれほど問題はないけど、中国語で読む・書くって言う作業はオレにはまだまだつらいもの。
 最初の1週間は「適応週」って事で比較的楽だったけど、それでもちゃんと食事は体力が付くようにとちゃんと出され、それも脂っこかったりするので、軍に入ったのに太るんじゃないかと心配になったほど。それを過ぎてからの1週間ちょっとは少しずつきつい訓練も取り込まれてきたが、何とか付いていけた。腕立てや腹筋・懸垂などの回数も徐々に増え、走る距離もだんだん増えてくる。そして歩兵銃を使った訓練も加わる。銃の仕組み、狙う時の姿勢、持ち歩く時の姿勢、そして銃剣を付けての銃剣術も習う。
 この銃を使った授業が一番嫌いだったりする。何がって、3.5キロの歩兵銃、ずっときちっとした姿勢で持っていたり、更にそれを振り回して突きとかやったり、突きの姿勢が綺麗じゃないと動作の途中で止められて、突いたままのきつい姿勢で持っていたりすると、もう腕が使い物にならなくなるくらい疲れる。食事はステンレス製の茶碗と箸を使うんだけど、銃の訓練が終わった後は食器のこすれあう音がいつもより大きくなっていたりする。何故って、みんな疲れ切ってプルプル震える手で重くなったおかずを懸命に持ち上げて食べようとするからだ。食事もままならない。
 それ以上に嫌いな訓練が、上半身に色んな装備(水筒・銃剣・防毒マスク・スコップ)を付けて、更に銃を持って戦闘中の状況を想像しながら芝生の上を駆けたりほふく前進したりコロコロ転がったり…これが本当に疲れる。装備が重いのなんの。水筒を満タンにしておくともうたまらん。で、色んな装備が転がるたんびに体に当たって痛かったりする。身体的な負担は何とか乗り越えられるんだけど、実はこの授業、戦闘状況の文章を暗記してから望むのだ。みんなで文章を読みながら動作をするんだけど、中国語の文章を暗記する作業がオレには相当つらかったりする。輪をかけてつらい授業だ。
 とにかく緊張の毎日だったけど、緊張の原因は上に書いた訓練から来るものじゃなかったりする。軍営での生活は、朝起きてから寝るまで、きっちりした時間割で決められている。どんな理由があろうと時間に遅れるとばっちり「怠慢だぁー!」って叱られる。そして一日に何度となくかかる集合の号令。大抵が「3分後に集合場に集合!」なんだけど、これも遅れるとばっちり「怠慢だぁー!」って叱られる。たまに5分後ってのがあるけど、時間がちょっと長く取ってある時は大抵が着替えて降りて来いっていう感じか。時間は長いが余計に忙しい。とまぁとにかく時間に追われるから緊張のしっぱなしだ。
 一日のうちで一番気が楽なのは昼休みかな。台湾では昼寝をする習慣があるから、昼休みは長く取ってあるのだ。でも寝なきゃゆっくりいろんなことが出来る。夜の就寝後もホッと出来そうな感じはするけど、次の朝ちゃんと起きなきゃいけないっていうのもあって、安心して寝る事は正直出来ない。朝は本当に忙しいのだ。6時に起きて、蚊帳と寝袋を素早く片付けて着替えたり顔洗ったりして15分後には集合してないといけない。それを思うとおちおち寝てもいられない。あ、寝袋といってもちゃんとベッドに寝てたりします。寝袋は広げて布団代わりに使う感じ。ベッドは2段ベッドがだぁーっと並べてあって、総勢43人が一つの大部屋で一緒に寝てます。自分だけの空間なんてありません。
 オレがいる隊は総勢127人いて、それぞれの人に班や番号が振り分けられている。背の順に大きいほうから1番って感じで、オレは第7班で69番。因みに隣の68番、戸籍を置いている伯父家のすぐ向かいのマンションに住んでいた。んなもんで仲良くなって、帰りも一緒に帰ってきた。また軍営に出かける時も一緒に行く予定だ。1人で行ってもいいんだけど、貸切バスに乗る場所がよく分らないから連れて行ってもらうことにした。知り合ってよかった。
 当然軍中での生活は慣れないし嫌だけど、つらい事ばかりでもない。訓練中や集合する時は長官たちも厳粛になってバシバシ罵声が飛ぶんだけど、それ以外の場面では普通にいい先輩だったりする。まぁ先輩と言えどもほとんどが年下だけど。な訳でオレの状況を話す機会もあって、例によって同情を集めたりする。長官のうち2人は日本留学の経験もあって、時々日本語で喋りかけてくれる。ギターを持っている長官もいて、それを弾かせてもらったり、教えたり。楽しげな時間もあったりするのだ。
 この前の日曜に懇親会もあったりして気楽な日もあった。軍営からはやっぱり出られないんだけど、親、親戚友達などが軍営を尋ねて訓練中のオレらを労う為の行事だ。この日はちょうど仕事の関係もあって台湾に来ていた母が尋ねてきてくれた。食べ物をいっぱい従えて。んで親父方の親戚たちも尋ねてきてくれた。初めて軍服姿を親に見せた日だ。こんな遠くまで訪ねてきてくれる事に感謝感激。
 そして更にうれしい事に、母は彼女の手紙を持ってきてくれていたのだ。最高に嬉しかった。同時に寂しさも湧き出てくる。他の人はこの休みに自分の家に戻ったり彼女や友達と過ごせるけど、オレはそれが出来ない。仕方がないと思う反面、やっぱ不公平だと思う気持ちも湧き出る。
 2,3日前にちょっとしたイベントもあったな。どっかから劇団がやってきて、2時間くらいのステージをやって帰って言った。緊張を解き放てる時間でもあって楽しかった。内容はまぁ少々古臭いものだったけど、それなりに楽しかった。
 あと2週間、新兵訓練の日々が続く。来週は実弾での射撃練習もあるらしい。ちょっと怖いって言うのが正直な気持ちかな。更に訓練が厳しくなっていきそうな予感もするし。でも、とにかく精進して色んな事をこなしていかないと。頑張りませう。

by aynil24 | 2004-12-10 23:58 | training days | Comments(2)
Commented by komaちゃん at 2004-12-11 00:51 x
Lyoさん、丸刈りっすか~。ちと想像しただけでも、おもろそう。
訓練、大変そうっすねぇ~。オイラだったら、2時間持たないや。腕立てでもうギブアップ。
オイラも新しい環境に来たので、こっちもガンバりませう。

びばの~ん。
てへっ。(^^ゞ
Commented by aynil24 at 2004-12-12 01:33
丸刈リータっすよ、くりくりしてますよ(笑)
訓練、意外と付いていけますよ。
体を動かすのはいい事だと思うので、
komaちゃんも少しずつ鍛えてみては?


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